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05/04/2007

ドイツ紀行

何か帰ってきたら日本もあったかいですね。キャミソール一枚で窓開けて掃除してたけどぜんぜん寒くないです。
さて、前述のように、知り合いのところを渡り歩いただけで、ちっとも紀行じゃあなかったのですが、ゆるゆるのトラヴェローグです。

そう、全然観光してないし外食してない、ミュンヘンに行ってブレーツェル食べてない(笑)、向こうの人は、ガストをもてなすといったら、おうち主義のようで、なんだかひたすら散歩しておしゃべりして一緒にごはんをつくったりしていました。最初に訪ねた老夫婦はミュンヘンのかなり郊外に住んでいるので、自転車で森とか広大な菜の花畑を走り回ることからはじまりました。「田舎だからなんにもなくてつまんないよね?」と何度も言われましたが、不健康な日常からやってきたわたしにはこの上ないリハビリです。
ドイツは異常気象で、わたしが留学してた年もそうでしたが、日中は真夏の暑さでした。でも去年は4月に雪が降ってたんだそうです。菜の花やたんぽぽ、ありとあらゆる花が満開で、とくにKastanienの樹が!歓声を上げてしまいました。ミュンヘンだと土地柄、その下はビアガーデンです。でも皆、バスケットにお弁当詰めて持っていって、ビールだけ買うのね。
その次はミュンヘン中心部に住むロシア人通訳。クラスメートの隣人で当時よく遊びにいっていました。
比べれば、わたしは結局〈昏い都会〉ベルリンのほうが好きなのですが、とにかくミュンヘンは美しい街です。何というか、都会なのですが雰囲気が非常に解放的で、空と緑が美しく、明るく美しく日常が暮らせる街だと思います。二ヶ月くらい住んでいたので、かなり地理を覚えてて、懐かしかったです。
「なんで一日しか居ないの? 短すぎるよ!」それはそうだ。何か発想がおかしかった。いやしかし、ツアー旅行なんてもっと忙しいじゃないの。一週間しかないわけだし……。でも一週間の旅行で3回も別れを経験するのは、けっこうすれてしまった今になっても辛いものです。翌朝どたばたとICEに乗り込みボンへ移動。

ICE。見た目は立派ですがなぜこんなに遅いのか。日本の新幹線の比ではないです。フランクフルトまで四時間強かかります。
しかもヨーロッパの中では日本人も親近感を感じるまじめなお国柄(信号も守る)、のはずなのに、電車が遅れます。一週間しかいなかったのに8割くらいの確率でぜんぶ遅れてた。一回など、事故でICEが来なくて(席まで予約してたのに)、「いつ来るかわかんないので、これで何でも乗れますから」と手書きのサインをもらって乗った普通電車が途中で止まり、「こっから先行かないんで全員降りてください」というアナウンスで「ここどこだよ」というような田舎で降ろされ、バスにつめこまれて振替輸送ということもありました(まわりみんな怒ってる)。このときは携帯持ってない知人と待ち合わせしてたんで心底ひやひやしました。帰りの日に空港へ向かうときも、最初の普通列車が遅れたために予定の乗り換えができなくなり、「空港へ行かれる方、お気の毒ですがICEは待ってません」というアナウンス。…でもわたし、これがたとえばフランス語圏だったとしたら、パニックだったと思うんですよね。だからなかなかドイツ語圏外に個人旅行で出られないのです。

Weinwergしかし、ボンに向かう途中、マインツ―コブレンツ間のライン川沿いの景色は素晴らしいです。ローレライの岩なんかもある、風光明媚な観光名所でありますが。このあたり一帯が有名なぶどう畑で、わたしは母親の田舎が山梨で梨とぶどうを作ってるので、やっぱり場所によってけっこう違うんだなあと、面白く眺めました。ところで最初、単語を知らなくて「ぶどう畑」と直訳で言っていたら「そんな単語はない」と言われて、Weinberg(直訳すると「ワイン山」)なのだとか。食べる方は主じゃないんですね。

Bonn
さてボンで待っててくれたのは、一時期とても仲が良かった友人です。しかしわたしが学業続行をやめて、再留学断念・就職にともなって必然的に会うこともなくなってしまい、二年以上会ってなかったので、少し腰が引けてもいたんですが、友人は全然変わってなくて、なんだか変わらず仲良しのままで、びっくりしたと同時にしみじみと嬉しくもありました。この孤軍奮闘の二年半、わたしは自分の決断は間違ってなかったと思うし、いま社会人として自活できていることは本当に重要だと思うけど、でもこのことは神さまの贈りものだなあと思いました。

というわけで、忙しい旅程に早くもうんざりしてきていたわたしは、友人の勧めに甘えて、一人で観光する予定だった最後の二日間をキャンセル、そのままボンに居座ることになりました。
友人の部屋にスーツケースを置いて、翌日フランクフルトに戻り、同じくドイツを旅行中の知人と落ち合って(会社の人なので不思議な感じだった)外食、オペラ鑑賞とはじめて旅行らしい日程を過ごしました。音に聞くフランクフルトのApfelwein(りんご酒)、初めて飲んだけど酸っぱくてとても美味しかった。絶対日本で受けると思うのでもっと輸入してほしい。
オペラは初めてです。ワンピースがかばんに入らず、なんとかスカートは穿いたが、というような格好だったのですが、比較的軽装の人が多くて、日本より敷居が低い感じでした(切符代もね)。
演目はヤナーチェクのJenufaです。あらすじを書くとネタバレになってしまいますが、オペラって、大河ドラマかLiebesspiel(恋愛のどたばた)でしょ、という頭の硬い初心者の予想を見事に裏切って、チェコの田舎の、肌に迫るような近しい、暗い、どうにもならない痛みの物語で、ちょっと涙が出そうにもなってしまいました。オペラとしては、主流ではないのかもしれませんが、前述のような先入観を持ってるオペラ未経験者は多いと思うので、こういうもののほうが絶対初心者向きだと思います。
オペラはでもネタバレはありのような気もするので、あらすじに関心のあるかたは「イエヌーファ」で検索してみてください。このあらすじだけで小説が3本くらい書けそうだ。

さてボンではやっぱり散歩とか料理とか、大学の芝生でぼーっとしたりとかしてました。上掲の写真はライン越しに眺める対岸です。Koenigswinter
これは、ボン近郊Koenigswinterという、これも小さな綺麗な町の、けっこう山を登ったDrachenfelsからの眺めです。ここはかのジークフリートがドラゴンと戦って不死身になったといわれる場所ですが、連れてってくれた当の友人がその話を知らなかった。ええ、君ドイツ人でしょ!これって日本人がヤマタノオロチの話を知らないようなものよね!とびっくりしましたが、でもいまそういう若者はいるかもしれないなあ。学生のとき家庭教師した中学生とか、「蜘蛛の糸」の話知らなかったしなあ。
Schlossこれは同じ場所にあるお城。

さて学生寮に不法滞在してたわけですが、短期間ならよくあることらしく、共同のシャワーやトイレを使ってても誰も不審な顔をしません。友人はマルチリンガル環境で育ったいわばSprachgenie、日本の大学に行ってたので、結局日本語でずっと話してて、ずいぶんと力の抜けた後半でした。「ここは平和すぎて、勉強は捗るけどなんにもない。また日本に行きたい」とかいっていましたが、わたしはできることならドイツに住みたいよ、とまた思いました。
まあ、日本での仕事を辞める気はさらさらないのですが。

ありがちな展開ですが、起こってしまったマイナスの事象でいちいち落ち込まないようにしよう、そうすればまたいいこともあるだろう、と思いました。
ああすごく長く書いてしまった、これって健康の徴でしょうか? まだ連休は残ってるので、これから実家に帰ってきます。

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